大地のご加護がありますように
3-2
恐くなった。
学園に来ることも、彼らと話すことも。
結局のところ、自分は負けて、この場所に来ているということを思い出してしまったのだ。
自分の弱いところが、皆に知られてしまうのが恐かった。
何より、自分がこの場所にいるべき存在でないことを感じさせられることが、感じることが、恐くて仕方なかったのだ。
だから、敢えて近づかない。
それは、俺の中では一番賢明な判断だった。
三人の誰かと会っても、最低限の挨拶だけで済ませよう。もしくは、挨拶何てしなくていい。ただ頭を下げるだけでもいい。
とりあえず、恐いのだ。
負けた自分というものが。
取り残される自分が。
行ってしまうみんなが。
だから、俺はそうするしかなかった。
固く、固く、固く。心を閉ざす。絶対に誰にも開かせない。
俺は天才だった。
故に、臆病だった。
何でも、自分一人でできると思った。でも、できないことには人一倍敏感だった。
一度負けてしまったら、後は折れるのは簡単だった。
今まで貫いてきた信念とか、目標とか、ポリシーとか、プライドとか。そんなものがすべてアッサリと折れてしまった。
そして、俺は今も負け続けている。
――負け犬。
今の俺に、実に相応しい言葉だ。
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