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彼と彼女の1500という数字

第6話 今日の目標二

  今日は久々に走る練習。
 最近は中島さんと一緒にずっと筋トレしてたからね。やっぱり走るのが一番よ。気持ちいし、爽快だし。うーんっ、走るの最高!
 で、今日の練習の内容は三〇〇メートルを五本って感じでね、そこそこのペースを維持して走るの。合計タイムがベストより少し遅いくらいが一番良いかな。 今、そのくらいのタイムが出れば上出来だからね。練習は来年も見据えたものにしないと意味無いからね。だって、陸上はあと三年は最低続けるんだもの。
 今から無理な練習して、故障なんかしたら大変よ。一応、奨学金も貰ってるんだから成績残さないとね。奨学金止められたら親にも迷惑かけちゃうし。
 よーし、頑張るぞぉ。
 うちのトラックは一周が三〇〇メートルなの。陸上部専用のグラウンドはないのよ。あれだけ部員がいるのにね。
 だからいろんな部の人が走ってるの。とりあえず沢山。どんな人が走ってるのか見るのが私の楽しみ。あ、違う違う、いい男探すとかそんなんじゃなくて、もしかしたらお手本になるような走りをしてる人がいるかもしれないじゃん。
 さて、今日はどんな人が走ってるのかしら。
 あら? 後ろからなかなか格好いい男が走ってる。あーあ、やっぱりそっちに目がいっちゃった。まぁ、いいか。
 でも、だらしない走りね。一体何処の部活かしら。ダラダラ走っちゃって、やる気なさそうね。なかなか体格はいいのに。う〜ん、身長は私より十センチくらい大きいかな。でも、少し細いわね。もっとご飯多めに食べないと。
 あ、スピードアップした。へー、やる気出たのかな?
 おっと、気がつけば並ばれてた。ふむふむ、顔立ちはかなりいいな。
 って、あれ、コイツ、私見て笑った! しかも、お先にぃ、なんて言って先に行きやがる。コイツぅぅ、私を誰だと思って喧嘩売ってんのよ。キーッ! 負けてたまるか! 早速抜かしてやるわ。
 もう思いっ切りダッシュ。どーせ一回抜かしてそのまま維持すれば、疲れて遅くなるはずよ。そうすれば私も普通のペースで練習できるし。まぁ、ちょっとくらい意地張っても良いわね。
 よし、今日はあの男を負かしてやることが目標ね。
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